シロアリの種類と分布、見分け方
日本全土で見られる日本産シロアリは17~22種いると言われています。このうち、住まいに被害を与える害虫として、主として問題になるシロアリは3種です。
ここではシロアリの種類について解説します。
シロアリの種類
建物に被害を与える日本のシロアリで、九州以北で見られる種類の大半は、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、最近、北米からの輸入材とともに発見されているアメリカカンザイシロアリの3種です。
ヤマトシロアリは北海道北部を除く日本全土でよく見られ、小笠原諸島に分布 し、特に千葉県以西の温暖な海岸線に沿った地域に散発的に発生しています。アメリカカンザイシロアリは、24都道府県で観られている移入種 なので、油断をすると危険な種類です。
代表的な3種以外ではオオシロアリ、カタンシロアリ、ナガジマシロアリ、コダマシロアリ、サツマシロアリ、クマモトシロアリ、ダイコクシロアリ、コウシュンシロアリ、キアシシロアリ、アマミシロアリ、ムシャシロアリ、タイワンシロアリ、タカサゴシロアリなどのシロアリがいます。これからは森の中や九州以南に見られ、中でも奄美大島以南で多く生息しているダイコクシロアリの被害も増加しています。
代表的な3種の特徴について、以下にまとめました。
種類 | ヤマトシロアリ | イエシロアリ | アメリカカンザイシロアリ | |
---|---|---|---|---|
分布 | 北海道北部を除く日本全土 | 千葉県以西の海岸線沿いの温暖な地域 南西諸島、小笠原諸島 |
宮城県から沖縄ほか 24都府県で点在 |
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羽アリ | 体長 | 4.5~7.5mm | 7.4~9.4mm | 6~8mm |
体の色 (色の違い) |
黒褐色で胸板が黄色(黒っぽい) | 黄褐色(茶色っぽい) | 頭と背中の一部が赤褐色 他は黒褐色 |
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羽の長さ | 7.0mm~7.4mm | 9.2~12.8mm | 9~10mm | |
羽の色 | 淡黒褐色・半透明 | 淡黄色・半透明 | 褐色・前縁部は特に濃色 | |
群飛時期 特徴 |
4~5月昼間 穏やかな天気で気温の上がった日 |
5~7月夕方~夜 急激に温度が上がった日 夜、灯りに集まる |
3~11月昼間 気温の急激に上がった日 グループになり、数日に分かれて飛ぶ |
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走光性 | × | ○ | × | |
兵アリ | 頭部形状 | 円筒形、左右両縁平行 全長の1/2 |
卵形、全長の1/3 | 円筒形、左右両縁はほぼ平行、 全長の1/3 (ヤマトシロアリに似ているが大きさが異なる) |
白い粘液 (防御物質) |
出さない | 出す | 出さない | |
巣 | 加害箇所が巣になる 特別に巣は作らない |
地中などに塊のような大きな巣を作る | 特別に巣は作らない 木材に穴をあけて、集団生活 |
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巣内の個体数 | 2~3万個 | 百万匹 | 2千~3千匹 | |
被害の特徴 | 主に建物下部を加害し、被害は腐朽と同時に起こる 食痕は多湿 |
建物の乾燥した木材に水を湿らしながら加害 食痕は乾燥してきれい |
建物の乾燥した木材やピアノ、机などの家具類まで食害する | |
特記事項 | 日本の被害の大半はこの種 | 被害が建物全体に及ぶので危険種 | 各都道府県で発見されているので、要注意種 被害材の食害孔から乾いた砂粒状の糞を排出する |
見分け方のポイント
3種は様々な違いがありますが、特に以下に点に注目すると見分けやすいことが分かります。
<羽アリの場合>
- ・羽の色
- ・全体の体の色
- ・群飛の時期・時刻
<兵アリの場合>
- ・頭の形
- ・アメリガカンザイシロアリのみ、触角が付け根の一節だけ太い
同じシロアリでも、羽の色や頭・体の形大きさなど、違いがたくさんあり、知っていると見分けることも可能です。群飛の時期や被害なども異なります。その状況で判断することもできます。似た虫を見かけた時でも慌てることなく対処し、適切な業者に相談しましょう。
羽アリを見つけた時のシロアリの見分け方
羽アリが発生した時、大挙して群飛するので、一般的にはその量に驚くかと思いますが、慌てる必要はありません。羽アリに毒があるわけでもなく、羽アリだとしてもシロアリだとは限りません。アリ科のアリ(クロアリ)である場合もあります。
クロアリであれば心配はいりません。不安な時は数匹捕まえて、容器に入れておくか、羽だけでも保管しておけば、業者に依頼する時に間違いなく特定することができるので有効です。
クロアリの羽アリとシロアリの違いを見ていきましょう。
シロアリ(ヤマトシロアリ) | クロアリ(アリ科の羽アリ) | |
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触角 | 数珠状でまっすぐ | 棒状の節が連なって、 くの字型(折れ曲がらないものもあり) |
羽の特徴 | 前後の羽の大きさが同じ すぐ落ちる |
前羽が大きく、後ろ羽が小さい 取れにくい |
体の形 | 寸胴 | くびれがある |
群飛時期 | 4~5月 | 春先から初冬まで種によって様々 |
歩行・静止時 | 羽を背の上に重ねる | 羽を重ねる、または立てる |
詳しく見ていくと、触角の形状、羽・体の特徴、見かけた時の羽の状態などで、シロアリとクロアリでは全く異なります。シロアリの場合は翅が落ちやすいという特徴がありますので、木材の屑と翅が落ちていた時にはアメリカカンザイシロアリの存在を疑った方がいいかもしれません。
ですが、ただ、歩行したり群飛している羽アリを見かけただけで、すぐシロアリだと判断しないで、慌てず数匹を確保し、シロアリか否かを冷静に見極め、疑わしい場合は、信頼できる専門業者に相談しましょう。