シロアリの活動時期
シロアリを駆除するのに、シロアリをあまり見かけない寒い冬の時期は適していないのではないかという声も聞きますが、そうとは言えません。
確かにシロアリは20度以下の環境では活動を停止して、巣の中でじっとしていますが、冬眠しているわけではないのです。
もしも発生しているとわかっているなら、いつの季節であってもすぐに駆除すべきで、予防の施工を考えているなら時期を待ったりせず、すぐ行った方がいいでしょう。
しかしながら、シロアリの活動時期に直接シロアリを目撃できれば種類も判別できるので、活動期が駆除には適した時期だとも言えます。
では、シロアリが最も活発に活動している時期はいつなのでしょうか?
シロアリの発生から群飛まで
シロアリの発生・産卵時期
シロアリに産卵時期はありません。蚊のように夏だけ発生するというように決まった時期や季節があるわけではありません。シロアリは家屋の地中で、集団で巣(コロニー)を作って生活しており、その中で王と女王が一匹ずついて卵を作り続けています。女王アリが常に産卵をしてコロニーの個体数を減らさないようにしているのです。
羽アリの発生
コロニーの中で女王アリが産卵を続けているとコロニーの中のアリが飽和してしまうことがあります。そのような時、巣内の個体数のバランスを保つため、ニンフと言われるアリが羽アリとなって、新しい巣作りのために飛び立ちます。それが春から夏にかけての時期になります。種類によって微妙に時期が前後しますが、だいたいこの時期に羽アリは活発に活動を始めます。
様々なシロアリが活発に活動する時期
日本で平均気温が高くなる春・夏は、シロアリの活動が活発になり、最も被害が発生しやすくなる時期です。日本で最も多いヤマトシロアリ・イエシロアリは地中に棲んでおり、温度が高い場所を好みます。この種はトンネルを掘りながら進むので、その先が家屋だった場合、その家内に侵入されてしまうことになります。
生息範囲の広いヤマトシロアリは4月~5月のムシムシ温かくなってきた天気のよい昼間に羽アリが飛ぶ習性があります。また南に多いイエシロアリは6月~7月の梅雨の時期の夕方から夜、移入種のアメリカカンザイシロアリは6月~10月頃に羽アリが群飛します。
それらの羽アリが降り立った家では、羽が落ち、女王アリとオスアリの2匹を中心に再び巣が作られ、シロアリの被害が起きてしまう危険性が生まれます。
時期 | 活動するシロアリの種類と活動状況 |
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11月~3月頃 | どの種も、基本的に巣の中でじっとしている |
4~5月頃 | ヤマトシロアリ、羽アリの群飛 |
6~7月頃 | イエシロアリ、羽アリの群飛 |
6~11月頃 | アメリカカンザイシロアリ、羽アリの群飛 |
冬にシロアリはいないのか?
それでは、シロアリは冬の時期はいなくなるのでしょうか?
確かにシロアリは気温が6度よりも低くなると体が動きにくくなり、活動をやめることが多くなります。しかし、冬は決してシロアリがいなくなる季節ではありません。シロアリは地下から家の中へ侵入する害虫なので、冬の間に床下を見てみると、シロアリが木をかじった痕跡が残っていることがあり、いないのではなく隠れていることがわかります。
シロアリは冬眠するわけではなく、温度が低いとただじっとして冬を越します。
暖かい場所であれば冬でも問題なく行動します。冬場でも暖房器具によって、室内の温かさが床下にまで伝わり、活動を停止していたシロアリを起こし、活動させることになります。また暖房を使うことによって、外と室内の寒暖差が大きくなり、結露を発生させたり、加湿器を使うことによって、湿度を好むシロアリを元気にしてしまうことにもなります。
現在では冬はシロアリが出にくい季節という認識は間違っていると言えます。年間を通して、シロアリの発生には注意しておいた方がいいでしょう
活動期の変化
アリではなくゴキブリと同じ種別であるシロアリは寒い気候よりも温かい気候が好きな生態の特徴ですが、これまでシロアリが生息しづらかった北海道でも被害が増加傾向にあります。北海道でのシロアリの発生原因は、エアコンなどの暖房器具の普及と地球温暖化の影響により、以前よりも年平均気温が上がっていることが理由と考えられます。寒い場所を嫌うシロアリが昔よりも活動しやすい環境になってきています。
北海道以外でも同様で、シロアリは年中繁殖し、増殖を繰り返しています。
しかしながら、羽アリの最も活発な発生時期は、普段地中にいて、あまり目にすることがほとんどないシロアリを見つけやすい時期ですので、シロアリの巣が身近にあるかどうかを判断するのにいい時期ではあります。群飛の多い梅雨から夏にかけて、シロアリが飛んでいたり、シロアリの羽が落ちていたりしていないかを注意してみましょう。