ゴキブリ対策のためにできること

そもそも、なぜ家にゴキブリが出るのでしょう。それは「外から入ってくる」からです。ゴキブリは本来は野外に発生したもの。それがエサを求めてや、寒さから逃れるためなどの目的で人家に侵入してくるわけです。結果、家の中に住み着いてしまうこともありますが、ゴキブリがもともと外から来るものであることを踏まえるなら、ゴキブリ対策とは次の2点であることがわかります。

  1. 今、家の中にいるゴキブリを駆除すること
  2. 新たにゴキブリが入ってこないようにすること

この2つを分けて考え、それぞれの対策を検討してみましょう。

今、家の中にいるゴキブリを駆除する

ドラッグストアやホームセンターなどを訪れると、さまざまなゴキブリ対策製品が並んでいます。大きく分けて、以下のようなタイプに分類できます。

スプレー式殺虫剤 ゴキブリを直接的に駆除する薬剤です。最近は、瞬時に冷却することで駆除する製品や、泡で包み込んでしまう製品なども人気です。忌避剤として使用することを兼ねているものもあります。
燻煙式殺虫剤 煙や蒸気の形で薬剤を家の中に散布し、ゴキブリを駆除する薬剤です。
ベイト剤 ゴキブリを駆除する薬剤ですが、エサの形になっており、置いておいてゴキブリに食べさせることで駆除します。いわゆる「ホウ酸団子」も家庭で作れるベイト剤の一種と言えます。
忌避剤 ゴキブリが嫌う成分を含み、ゴキブリを殺すのではなく、来ないようにする、遠ざけることを目的にした薬剤です。スプレー式のほか、据え置きタイプのものもあります。
粘着シート 粘着性のシートなどをゴキブリの通る場所に置いておき、ゴキブリを捕らえることで駆除する製品です。

これらの製品は、いずれも一長一短がありますが、おすすめはズバリ、「ベイト剤」です

まず、忌避剤は「今、家の中にいるゴキブリを駆除する」という観点では本質的に目的にかないません。これは駆除した後、ゴキブリの再発を防ぐ目的で使用すべきでしょう。

ゴキブリを直接的に駆除するにあたって、スプレー式殺虫剤は1匹1匹、見つけるたびに駆除をしていく、ということですから非常に効率が悪いです。今、目の前にいる一個体を退ける対処療法としては良いのですが、ゴキブリが家に住み着いている状態では、スプレー式殺虫剤だけで完全な駆除を目指すのはムリがあります。

燻煙式殺虫剤は効率が良いように思えますが、タマゴの駆除ができないこと、期待するほど家の隅々にまではいきわたらないため駆除漏れがあること、事前の準備や後処理が面倒であることを考えると、コストパフォーマンスが良いとは言えません。

残るのはベイト剤と粘着シートですが、ベイト剤は、駆除された死骸を通じて仲間のゴキブリを二次的に駆除することもできるなど、大変、効率の良い駆除が可能です。そのため、プロの業者が使用する薬剤もベイト剤が主流になっています。駆除を行うなら、ベイト剤を中心に試みるのが良いでしょう。

新たにゴキブリが入ってこないようにする

ゴキブリの被害を防ぐ最大の方法は、ゴキブリが家に入ってくるのを防ぐことだと言って過言ではありません。意外かもしれませんが、ゴキブリは開いている窓や玄関のドアから、ごく普通に入ってきていることが多いのです。そのため、窓やドアを開けっぱなしにするのをやめ、開閉時に少し注意するだけでもリスクを抑えられます。

しかし、ゴキブリは非常に小さな隙間からでも侵入が可能である、というのが問題です。幼虫であれば1.5mmでも隙間があれば侵入できます。現代の住まいは気密性が高いように見えて、実は小さな隙間は意外とあるものです。マンションなどはサッシの立て付けが悪くてどうしても隙間が出る、というケースもあるでしょう。他にも排水口付近や、換気扇、エアコンの室外機へ続くホース周辺など、住まいのあちこちにある隙間が侵入口になりえます。

プロの駆除業者は、こうした隙間を見極め、閉塞処理を施します。ある意味、ゴキブリの侵入口を見つけられる目とカン、そこを確実に塞ぐことのできる技術とが、プロの駆除業者と一般の方の違いだとも言えます。一般の方でも、ホームセンターなどで手に入る資材を用いて、閉塞工事を行うことは不可能ではありません。

排水口・換気扇といった水・空気の出入りが必要な場所には、網目が1.5mm以下のネットを張ります。キッチン・水まわり用の丈夫なネットを使いましょう。水まわりやエアコンなどのパイプ導入部などは、プラスチック・金属製の板、すき間補修用のパテを使って埋めていきます。

ゴキブリが住みにくい環境づくりも大切

ゴキブリが外から侵入してくるのは、家の中にエサがあり、温度などが快適な環境であるからです。そのため、侵入後に家の中を住処に決めて定着してしまうこともあります。つまり、ゴキブリが「巣」をつくってしまうわけです。そうなると、そこで繁殖が始まり、ゴキブリの数が増えて被害が増大します。

ゴキブリの「巣」は、蜘蛛の巣や蜂の巣のように形があるものではなく、隙間などにゴキブリが密集して生息する場所ができるというイメージです。5~10mm程度の隙間を好むので、エサや水の近くであるキッチンのシンクの裏側などがよく選ばれます。

ゴキブリ対策は、侵入を防ぐことももちろん大事ですし、侵入したゴキブリが住み着きやすい環境にしないことも重要です。本当は、食べ物を一切置かない、などできればよいのですが、それも難しいでしょう。そこで、できることとして、ゴキブリの巣になりやすい家の中の隙間をあらかじめふさいでおくというのがあるでしょう。

シンクの裏、流し下の収納内部、コンロの下、冷蔵庫の裏などにゴキブリが住みつくケースがあります。シンクとコンロが一体化したシステムキッチンの場合も、置くだけのタイプのだと壁・床との間にすき間ができてしまいます。これらの隙間は、目張り用のテープ・補修用のパテを使って埋めていくようにしてください。

忌避剤を活用して、ゴキブリを遠ざける

どんなに隙間を塞いでも、窓やドアの開閉をすることなく暮らしていくことはできませんから、ゴキブリが侵入してくるチャンスは常にあります。

そこで、忌避剤を活用しましょう。忌避剤だけでは根本的な解決にはなりませんが、徹底した駆除と閉塞工事と組み合わせることで、ゴキブリ対策の完成度が高まります。

化学的な薬剤も良いですが、薬を使うのが気になる人は、ハーブなどを利用するのもひとつの方法です。ハーブの効能は化学薬品に比べるとマイルドなため、確実性はありませんが、手軽に利用できるのが魅力です。

自力での対策に限界を感じたら……

自力で行った対策に、なかなか効果が出ない、という声もよく聞きます。ゴキブリは家の外から入ってきていることが多いのですが、「週に何回も、家の中で見かける」という状況だと、すでに家の中に巣をつくっている可能性が高いです。

すでに住み着かれている場合、一般の方ができる対策では、駆除が追い付かず、被害がいつまでも止まらないケースに陥りがちです。特に、繁殖力の強いチャバネゴキブリでそういうケースが多いようです。

そんなときは、プロの駆除業者に依頼することも検討してみましょう。駆除グッズをあれこれ買い込み、時間をかけて試しても効果が出ない、となるくらいなら、駆除業者に依頼してしまったほうが早く済みます。もっとも避けたいのは、効果的でない対策をしているうちにゴキブリが住み着いてしまい、被害が拡大するというものです。それなら、被害の程度が低い最初のうちに駆除業者に依頼しておいたほうが、結果的に費用面でも得だった、ということになりかねません。

自力で対策をするならできるだけスピーディーに確実な駆除を。それが難しいのであれば、早めの決断で駆除業者に依頼すべきでしょう。実際に依頼するか考える前に、一度、見積もりだけとってみて、相談してみるのも良いと思います。

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