有限会社カワシマハネー様
蜂の駆除だけでなく、養蜂もされている有限会社カワシマハネー様。
自然と人とを繋ぐのが役目という理念を持って仕事をされている
河島様にインタビューしてまいりました。
両親が養蜂業をやっていました
- どういったところから駆除の依頼がありますか?
- 有限会社カワシマハネー 河島様 (以下 河島):うちは市からのご依頼が多いんですよ。何年もこの手で蜂の巣を取ってきたので、そう言う意味ではキャリアは積んでいますね。
これはどうしたものかという事例も年間に数例出てくることがありますが、それでも事故もなく無事に取ってきています。当たり前のことですけど駆除が終われば、その経験が自分の肥やしになってきていると思っています。 - なるほど、実際の現場はどういったところへ行かれるのでしょうか?
- 河島:浜松市内にある一般のご家庭から、市の施設、あと学校関係が多いですね。
- 元々、養蜂をやられていたんですか?
- 河島:そうですね。両親が養蜂業をやっていました。養蜂っていうとハチミツを採ってという仕事ですけど、花粉の交配というのをしてミツバチを貸したり、売ったりしていたんです。
- 農家さんへ?
- 河島:そうです。いちごの交配をするためにやっていたんですよ。養蜂業にはいろんな資材屋さんやはちみつを売っているお店などいろいろありますが、そこへ生産農家として蜂を売っていたんです。養蜂業を営む両親のもとで育ちましたが、僕は医療をやりたいと思っていました。
そんな中、ミツバチの針を鍼治療に使えるということを知って、僕は蜂の針を使って鍼治療をしようとしたんです。親はハチミツを売ったり採ったりすることは知っていますけど、鍼治療については知りません。そうなってくると鍼の免許を取らないといけなくなって。実は、浜松という地区は蜂の針においては聖地なんですよ。 - ?浜松が?
- 河島:はい、というのも昭和の頃に蜂の針での鍼治療で有名な方が4人いて、そのうちの1人が浜松にいたんです。現在その方はお亡くなりになっていますが、お弟子さんたちが現在の日本の蜂の鍼治療をやっていますね。僕のところでは、パッと見は街の鍼灸院なんですけど、ミツバチの針の治療もできる鍼灸院なんです。でも、それを全面に勧めるってわけじゃなくて、人助けのレベルといいますかスキルとして持っているだけなのです。
といっても、業界の中では珍しくて、鍼灸院の看板を掲げてミツバチの針治療をやっていますと公表しているのは多分中部地方・地区では僕くらい。関東になるとちょっといるかもしれないですけど。両親も高齢になって現役を引退して、その中で僕が何をしていくかってなった時、蜂の針の治療院をすることと、地元のはちみつを採るということ、駆除をすることになったんです。
実は最近、ミツバチ不足と言われていると思うんですけど、そういう中で交配用の蜂をお客様に供給するのもだんだん難しくなってきているんです。 その中で、蜂に関してできることはなんだろうと思うと、蜂の巣の駆除っていうことになってきたのが現状ですね。 - そういったことがあったんですね。
- 河島:28歳から42歳くらいまでの間、会社勤めしました。
- 長く勤められたんですね。
- 河島:本当はもっと自然と人とを繋ぐ役目を僕がしていきたいと思っていますね。人の社会に進出している蜂と人をうまく共存できるようにと。環境破壊のことだとか自然を保護することはなんだろうということを含めてちゃんと考えていかないといけないと思います。
ミツバチにおいても自然のものであって、ハチミツがどうやって作られているのがわからない中でただ食べている人も増えていますからね。
駆除は秒殺で終わらせます
- 業者さんによってやりかたは違いますか?
- 河島:違うと思いますよ。だいたい僕は早いって言われるんです。どのくらいかかりますかって、料金のどのくらいかとか時間どのくらいかかりますかって言われますけど、僕の場合はよっぽどの事例でない限り、始まれば秒殺ですって言ってるんで。
でも、天井裏とかオオスズメバチは時間がかかりますよ、今年は3日間くらい通って駆除したお客様がありました。 - 3日間通ったんですか?
- 河島:はい。地元で。切り株の中に蜂がいて、それも幼稚園の園庭の中にいて。結局蜂が飛んでいないと気づけないんですよね。3日間のうち前半、2日間は秋祭りで人がいっぱいいて、残りの1日は運動会で。人が来て欲しくないのに3日間人が来て。張り紙をして注意喚起をして非常線を張ったんですけど、通る人は勝手に通っていきますからね。
切り株もほどよく腐っていて、すぐ穴を開けて出てきちゃうんです。だから薬入れて、栓をして、充填剤入れて、栓をして、薬入れて、栓をしての繰り返しで。木も平地じゃなくて崖になっているところにあったので、引っこ抜くには重機を使うしかないってなったんですけど、予算の問題が出てきて。 - その木には数百匹はいたのですか?
- 河島:木の中にいるので、述べでいけば100匹は超えていると思います。1匹残っていれば一緒で、1回でも誰かが刺されたら大失敗なんです。だから、根本的な原因である巣は取ってしまう。巣を残している以上絶対そこに寄ってくるじゃないですか。巣を取ってしまうということをしないとね。
- なるほど
- 河島:蜂が飛んできたら敵わないって僕は育てられたので。飛んでいる蜂に勝とうだなんていうのがおかしい。止まっている蜂に勝つことはできますけどね、叩けば死んじゃうから。でも、飛んでいる蜂を殺すのはなかなか容易ではないと育てられてきているので、そういう意味では、飛ぶ前に決着をつけないとこちらの思い通りにはならないです。蜂だったら秒殺みたいな。それが技術としてやっていることなんです。
究極のコツは「覚悟」
- 多い時期だとどれくらいの件数お受けになるんですか?
- 河島:今年は200件~300件ですしょうか。
- それだけの件数をやられて、失敗なく駆除されるのはさすがですね。
- 河島:そうですね。だけど究極のコツっていうのは最後の勇気だけなんで。あと一番大変なのは覚悟を決めるってことだけです。そのあとは淡々とその作業をするだけなんで、別に特殊な技能っていうものはありません。気持ちの問題だけ。
見る人が見れば盗める技術なんでね。でも、出来る限り動画での撮影はやめてもらっています(笑)心境とかにコツがあるので、そういったところを躊躇すると絶対うまくいってないんですよ。やっぱり気持ちの中で躊躇するとうまくいかない。素早く取ってしまうってこと自体はマネできない技術になっていると思います。 - 素早く取るというのが秘訣なんですね。
- 河島:ほぼ一撃必殺でなければいけないっていうのと、素早く段取りよくっていう部分がなければいけないし、準備不足だと失敗するっていうのもあります。その中でどうにか気持ちを持ってかないといけないだとか、特に厄介な事例ほど決心がまとまらないんですよ。
例えば天井裏にキイロスズメバチの巣があったと。それで天井裏にひとりで入っていかないといけない。お客様は100%の信頼があって、「ああ、これで大丈夫」って思っているわけじゃないですか。だから、僕の中ではこれどうやって取ろうかっていう顔は見せられないわけですよ。「大丈夫ですよ」という中で、やるまでどういう段取りでやったら一番安全にできるのかっていう風に考えているっていうのは今でもありますよ。
でも、おかげで今年は事故が1件もなかったし、失敗したっていう失敗もなかったので良かったかな。巣を取って帰ったらいい。天井に穴が空いていようが、蜂がまだ中にいようが。だけど、それだとお客様は困るじゃないですか。だから蜂がいなくなって、現状復帰ができたという時点で駆除が終わりだと思っています。 - 最後の最後までお客様の目線に立って、そこでやり遂げられたら駆除は終了ということですね。本日はインタビューありがとうございました。
- 終わりに
- 自然と人とを繋ぐ役目を僕がするという理念、とても素晴らしいと思います。
駆除は素早く、失敗はせずにしてくださるので心強いですね。