アースウェル株式会社様

殺虫剤をずっと撒き続けている、ゴキブリも棲んでいる、そんな厨房で作られた料理を安心して食べられますか。僕は嫌なんです。

「ゴキブリを完全に駆除することはできない!」というのが世間の常識。 でも、それは間違っている。殺虫剤をずっと撒き続けなくても、ゴキブリをいなくすることはできるんです!
と力説される、アースウェル株式会社の代表、大久保様にお話をお聞きしてまいりました。

目次

ソフトバンクの孫正義社長にお会いして起業をしたいと思ったのがきっかけです

もともと駆除業界でお仕事をされていたのですか?
アースウェル株式会社 大久保様(以下 大久保):いえ、全然、まったくの素人です。それまでは、金融、商社、警備業の営業をやってきました。
全然違うお仕事だったんですね。
大久保:はい、全然違いますね。
どういうきっかけでこのl駆除業界を?
大久保:20代の頃に福岡を離れて東京に行ったんです。東京に行って金融の世界に入ったんですね。東京のダイナミックな経済の中で、テレビに出るような人とかニュースに出るような人、新聞に載るような人、雑誌に載るような人、つまり日本の経済をひっぱている人たちに会ってみたかったんです。
それが一番の社会勉強で、自分の実力にもなると思ったんですね。だから、そういった社長さん達に営業したかったんですけど、上司からは、「お前みたいなペーペーを相手にしてくれるわけないだろう!だから、ちゃんとお前が取れるお客様のところに行け!」って言われて。2ヶ月くらいお願いし続けたんですけどダメだったので、これ以上この会社にいても意味が無いと思って辞表を出したんです。
なるほど
大久保:辞表が支店長まで回って支店長と話をすることになったんですけど、そしたら、1年間だけやるからやってみろと言ってくれたんです。支店長にチャンスをいただいてから、社長さんにターゲットを絞った営業をはじめました。
僕ひとりだけの特別プロジェクトでしたけど、上司が言った通り、3ヶ月もの間、ゼロが続いて成果は上がりませんでしたね。それから4ヶ月目ですね、ようやく契約をいただけたのは。それでね、その1件の契約が他の人の4ヶ月分の売上を一気に超えてしまったんですよ。
すごいですね!
大久保:ただ、契約を取るということよりも、僕はそういう第一線で戦っている社長さん達に会いたかった。そんな営業をはじめた時に、ぜひ会いたいと思ったのが当時日本ソフトバンクの孫正義社長。孫社長のお話しの中で、「人生は限りがあって、1回きりしかないから、人生設計していないと自分のやりたいことは達成できないよ」と。いくつかのアドバイスをいただいたことで、僕も起業しようと思ったんです。
なるほど。
大久保:起業をしたいと思った、それがきっかけです。

誰にも教わらず独学で独立

なぜこのお仕事をなさろうと思ったんですか?
大久保:もともとは、やりたいと思って始めた仕事じゃないんですよ。ただ、21歳のときに30歳で起業するって決めたから、とにかく起業したかったんです。でも何をすればいいのか全くわからなかったから、図書館通いをしたんです。8ヶ月間。
お仕事辞めた後に。
大久保:そうです。図書館に毎日通って、いろいろ調べたんですよね。世の中にはどういう業種があるのか、どんな仕事があるのか、何が社会問題なのか、どんなものが研究されているのか、何が注目されているのか・・・当時はまだインターネットが普及してなかったんで、図書館にある本とか資料、新聞、雑誌なんかを片っ端から調べていったんです。
そうやって調べた中のひとつに、害虫駆除っていう仕事もあったんです。仕事を辞めて起業するまでの8ヶ月の間に、23個の事業案を考えたんですけど、その中でも一番やりたくない事業案だったんですけどね、以前にレイチェルカーソンの「沈黙の春」という本を読んでいたので、なんか気になってしまって。
レイチェルカーソンの沈黙の春ですか。
大久保:はい、1960年代、僕が生まれた頃の本なんですけど、世界中に環境問題を広めたのがこの本なんです。害虫駆除の実態を詳しく調べてみてわかったことはね、料理を作る厨房にしょっちゅう殺虫剤を撒いてるのに、ゴキブリはいっぱいいるってこと。それと、厨房は思った以上に汚いってこと。
業務用の厨房にいるゴキブリは繁殖力がすごいっていうこともわかってきたんですけど、殺虫剤をしょっちゅう撒いているのにゴキブリはいっこうに減らないんです。オカシイですよね?殺虫剤って言っているけど、これ農薬と一緒なんですよね。濃度が違うだけで。それを、料理を作る厨房にしょっちゅう撒いてるんですよ。これもオカシクないですか?
農薬のような強い薬を撒いて、それでも止まっていない。
大久保:そうなんです!止まっていない。それでね、みんな「消毒」って言うんですよ。消毒は毒を消すって書くでしょ、なのに毒を撒いて「消毒」ってオカシイですよ。しかも、そんなところで作られた料理を自分たちが食べているんですよ。
お金払ってご飯食べるお店でゴキブリなんか発生しないようにしてほしいって思ったし、農薬も殺虫剤も撒いてほしくないって思ったんです。だけど、日本中どこを探してもこの問題に取り組んでいる会社がなかったから、結局自分でやるしかないって変な闘志が湧いてしまって。それが最初のスタートです。
それでどこかで勉強なさったんですか?
大久保:いえいえ、全くの素人のまま独立しました。
ご自分で勉強を?
大久保:勉強っていうか、図書館で調べた内容をもとに自分で企画書を作って、それを持って飛び込み営業をしたんです。厨房で殺虫剤を撒くのはやめましょうよって。
びっくりしますよね。
大久保:びっくりされてましたよ。それでバカ呼ばわりされました。詐欺師呼ばわれですよ。デタラメなこと言うなって。
お一人で?
大久保:たった一人でのスタートでしたね。自宅の6畳一間を事務所にして。
殺虫剤を撒かないで、どういったことをしようと思ったんですか?
大久保:まずは徹底的に大掃除やってみましょう!って。でも、駆除はしないといけないでしょ。殺虫剤を散布してお皿とかテーブルとかに飛散してしまうのが嫌だったので、ホウ酸団子を使いましょうって提案して、自分でホウ酸団子を手作りしてました。
お客様は取れました?
大久保:営業を始めて2ヶ月目にようやく初めてのご契約をいただいたお客様は築50年のお寿司屋さんだったんですけど、飛び込み営業で初めてお会いした時は、「お前はバカか!」って怒鳴られましたよ。「実績はあるのか?」って聞かれて「申し訳ないけど、始めたばかりで1件もお客さんいないです。でも厨房に農薬撒いているんですよね?
そんな薬を撒いてゴキブリがいなくならないんだったら意味ないんじゃないですか?」って感じで答えたら、「今まで、○○だの○○だのって有名な会社ばっかり毎年業者を変えてきて大きな会社が何回やっても出来んのに、全くのド素人の経験もないあんたができるわけなかろうが。あんたよりも俺の方が詳しいけん騙されんとばい」って。
そうなっちゃいますよね。
大久保:それでもね、「あんたの言うとおりになったら金払ってやる」って言ってくれたんです。でも、「タダじゃ出来ません」ってお断りしたんですよ。そしたら見積りをさせてくれて、後日、見積書を持って行ったんです。
ただ、正直言って料金設定の仕方さえも全くわかりませんでした。どんな材料がどれだけ必要なのか、どのくらい時間がかかるかも想像がつかない中で、年間16万円の見積書を持っていったんです。そうしたらね、また怒鳴られました。「あんた!大手でも6000円で毎月来て、全部で72000円だぞ。大企業が72000円でド素人のあんたは16万か」って。
ええ!?16万円ですか!
大久保:それで結局、その時は契約できなかったんですけど、1週間くらいして電話がかかってきて、やってくれって言うんです。だから僕は、「大将すみませんけど大将の条件ではできません、僕の方からお断りします」って言ったんですけど、「いやいやいいってあんたが言うとおりでいいから、前払いでいいからやってくれ」って。それで、鍵も預けてくれたんです。それが最初の契約です。ここから僕はもう意地ですよ。
大掃除から始めたんだけど、もう出るわ出るわ。ゴミとゴキブリの山。ゴキブリなんて家で見たことしかないわけですから、現実は想像を遙かに超えていて、うわーって思うくらい凄くてびっくりしましたね。本当に気持ち悪かったですよ。
やっぱりしなきゃよかった・・・って正直後悔しました。でもね、そんなこと言ってられないんですよ。お金もいただいてしまったし・・・。それからお店の中を全部くまなく掃除していきました。畳を全部剥ぐって室外に干したり、大皿とか食材をあっちこっち移動させたり、厨房機器を分解したりしながら、自分で作ったホウ酸団子を仕掛けていったんです。
それでとめたんですね・・・
大久保:2ヶ月くらい経ったころからゴキブリを見なくなったんです。大将が「ちょっと座らんね」って言って、「好きなもの注文しろ」って言ってくれて(笑)「いや、いいです。」って言ったら、伊勢海老とか鯛とか握ってくれて・・・(笑)大将がニコニコしながら、「すごいねあんた!」って言ってくれたんです。
こんな笑顔ができるんだって思いましたよ。大将が握った寿司をいただきながら、「なんで僕に頼んだんですか?」って聞いたんです。そしたらね、僕に電話してきた前の晩にカウンターに座ったお姉さんの太ももを大きなゴキブリが這ったらしく、お姉さんはぎゃーって大きな悲鳴をあげたあと凄い剣幕で怒って帰ってしまったそうなんです。
当然ほかのお客さんもシーンっていう感じになって、お店の雰囲気は最悪だったと。それと、実はまだあって、お茶会の食事を20食くらい受注した時、その立派なお重に入ったお弁当の中にゴキブリが入っていたことがあって、全部持って帰ってきたそうです。お茶会を台無しにしてしまったって。食事は大事ですからね、お茶会なんかは。そういうことを考えたら、安けりゃいいってもんじゃないと思い直したそうなんです。それに、今までプロに頼んできたのに全部ダメだったんだから、イチかバチかでド素人に頼んでみようと思ったのだと。
すごいですね。誰にも教わらずに。
大久保:だってプロと名乗っている人達でもみんな出来ないんだから、その人達に教えてもらったとしても何も変わらないでしょ。害虫駆除業者だといっても駆除できないんだったら、それは駆除業者じゃなくて殺虫剤散布業者だと思うんです。僕は。
全部自分で考えて
大久保:でもね、特別なことは何もしてないんですよ。とにかく徹底的に掃除して、整理整頓して、どこにゴキブリが隠れているのか、どんな風にゴミが溜まるのかって確認しながら、もうそんな感じで、ちなみに、その2ヶ月間は毎週土日の朝8時から夜10時くらいまで作業して、結局20日間、合計250時間くらいかかってますから大赤字ですね。
それからもう16年
大久保:16年ですね。当社のもうひとつの特徴は、お客様とのお付き合いが長いところです。
すごいですね。

害虫駆除ではなく、環境改善をメインに

定期的に訪問されるのですね?
大久保:そうです。定期的に。年間管理、年間保証をするために半年に1回。
半年に1回ですか?
大久保:はい、半年に1回定期が基本です。従来の害虫駆除業者さんだと毎月定期のパターンが多いですね。
ただ、1人じゃ行かないです。2人以上で行かないと施工ができないから。物件の大きさにもよりますけど、2人以上で行って半日から1日は最低かかります。
半日以上ってことは普通の業者さんの倍ですよね?
大久保:いやいや倍以上ですね。今までの害虫駆除業者だったら、1人で20分から30分で終わります。僕らは、2人以上で半日から1日ですから。
そこで清掃するということですか?
大久保:掃除というよりも環境改善ですね。
環境改善?
大久保:普通の掃除じゃないんです。厨房機器を動かしたり厨房の床に寝そべって厨房機器の下のゴミを取り除いたり、普段みなさんができないところをキレイにしていく。それと厨房機器を分解していきます。棚の中の皿も全部動かします。例えばご自宅のキッチン、冷蔵庫あるでしょ。動かすことありますか。
引っ越してから何年間もほとんど動かさないですよね。僕らはそれを半年に一回動かすんですよ、冷蔵庫だけじゃなく食器棚もね、それと流し台の下に鍋とか食材とか調味料が入れてあるでしょ。そこも全部出します。半年に1回。いろんなものが出てきますよ。
もうほんとにいろんなものが…10年以上前のカレンダーとか、カビだらけのハムの欠片とか…重たいもの動かしたり分解したりするから、うちの道具は散布機がメインじゃないんですよね、電動ドライバーとかペンチとかニッパー、懐中電灯、ドリル、そういった工具がメインなんです。
害虫駆除業者じゃない感じですね。
大久保:そうなんです、実は害虫駆除業者じゃないんです。食の安全を追求することを大事にしてるので、ポジションとしては環境改善サービス・衛生管理コンサルティングっていうんですかね。衛生改善をすると害虫駆除と防虫までできちゃう、つまり我々にとっては害虫駆除と防虫はおまけですね。
僕らは、害虫駆除をしなくていい厨房、殺虫剤を撒かなくていい厨房、害虫が発生しにくい厨房、そんな環境作りをしましょうっていうご提案なんです。だけど、どうしても侵入しますよね。厨房には食材とかいろんな荷物が入ってくるし人の出入りもあるから、当然ゴキブリとか他の小さな虫もそれにくっついてきたりだとか、扉とか窓、パイプ、排水溝といった開口部があるから、そんなところからも侵入してきますよね。大事なことは、侵入してもそこで生存し続けられない厨房、繁殖できない厨房、そういう環境をつくること、殺虫じゃなくて防虫、駆除じゃなくて予防管理なんですね。
つまりは、現代の予防医療と同じ考え方なんですよ。病気になってしまってから治すというより、病気になりにくい心身を作ろう。病気を予防して、健康を維持しようという考え方と同じで、害虫が発生してから駆除するんじゃなくて、日頃から衛生管理を徹底して害虫が発生しにくい厨房環境を作ろう。という考え方です。
なるほど、駆除はしないんですか。
大久保:いいえ、どこに頼んでもダメだっていう凄い状態で我々にご依頼をいただくことが多いので、まずは徹底的に駆除しますよ。
どうやって?
大久保:僕らの基本なんですけど、まずは徹底的に環境改善。そして、環境改善をしながらベイト剤っていうのを使っています。これは塗り薬タイプで飛散しないから、今のところ一番安全な方法なんです。それも半年に1回しか使わないし、見えるところにはほとんど塗らないんですよね。ゴキブリは見えない所に隠れているんですから。全部開けた機械の中だとか、もう本当に見えないところ、どこにつけているんですかっていうような見えないところに塗る。それが大事なんです。
ベイト剤って巣に持ち帰って、巣を全滅させるんでしょ?
大久保:それは実験室での話でしょ。実際の現場はまったく違いますよ。巣は人工的に強制排除しなければ全滅しません。しかも一気にやっつけないとスーパーゴキブリという生存力の強いゴキブリが出てきたりするんですね、そうなるとすっごく厄介。だから厨房機器とかを移動させたり分解したりして、徹底的じゃなきゃいけないんですよ。中途半端にやってるとあとが大変なんです。
ベイト剤はアースウェルさんだけですか?
大久保:最近は、ベイト剤を使う害虫駆除業者も増えてきましたね、ただ、僕らとは完全に「似て非なる者」ですよ。僕らの場合、施工の9割は環境改善に費やすんです。そしてベイト剤の9割は機械の中とか見えない所に設置していきます。生息調査の方法や保証基準の厳しさ、詳細な報告書、付帯サービス、返金保証なんかもあって、ほかとは全く違いますよ。一緒なのは「ベイト剤を使っている」という点だけですね。
殺虫剤は撒かないんですか?
大久保:基本はそうです。ただね、全く殺虫剤を撒かないってことじゃないんです。30回に1、2回使うかな、って感じですね。現時点では駆除するためにはどうしても殺虫剤を撒かなきゃいけない時もある。だけど本当に必要最低限。僕らは薬を撒かなきゃいけないんだったら、この厨房のどこに撒くのか最小限のエリアに絞るんです。そして、撒くんだったら今回1回きりにしようねって、次回から撒かなくていいようにしようねっていう発想でしか使わないです。
それで駆除できるんですか?
大久保:はい、全部いなくなりますよ。ただ、翌日すぐにいなくなる訳じゃないです。1ヶ月から2ヶ月くらいはかかりますけど。でも、本当にいなくなったかどうかってわかりにくいじゃないですか。今までは感覚的に減ったみたいだとか言ってたようですけど、僕らは生息の有無を数値化して効果判定をはっきりさせてるんですよ。
例えばですね、20坪くらいの厨房の生息調査をする場合、ホイホイを2から5個くらい置くのが一般的なんですけど、僕らは30から40個くらいは置くんです。
え、そんなに置くんですか?
大久保:そうです、それくらい置かないと本当にいなくなったかどうかなんでわからないんです。それでね、2週間くらい置きっぱなしにして、1匹も捕獲がなかったら合格です。それが確認できるまでに1ヶ月から2ヶ月かかるんです。
厨房機器を分解するんですよね?
大久保:分解しますよ。時間もかかるし重たいし凄く面倒くさいんですけど、分解しないときれいにならないんですよ。害虫たちは機械の中に巣を作って生活しているんですね、だから機械の中にフンとか抜け殻とか死骸がいっぱいなんです。それを取り除かないと気持ち悪いでしょ。根こそぎやらないときれいにならないし、いなくならないんです。それと、機械をばらしている工程とか機械の中の状態とかを写真に残すんですよ。あとで写真付きの報告書を作るんです。
お客様へ?
大久保:はい。普段目につかないところを触るでしょう。施工の次の日、お客さんが来ても何も変化がないんですよ、厨房の中。「何やったの?」って感じですよ。例えば、殺虫剤を撒いたら床が白くなっていたり、ゴキブリの死骸があったりするんですけど、うちは見た目何もないんですよ。
わからないですよね。お客さん。
大久保:そう、わからないんです。いやいや、わかるといえば履物ですね。いつも揃っていない履物が揃っていたり、あとは、無くなったはずの食器類がシンクに集めてあったり、書類が整えてあったり…わからないのは、厨房機器を動かしたり分解した状態がどうだったか、厨房機器の下から回収したゴミや食器類がどうだったか、どこがどうきれいになったのかというような、施工中にしか見ることができないことですね。
だから、それをちゃんとお客さんに見てもらうために、写真に残して報告書にするんですよ。そうすると、お客さん自身もいろんな気付きがあって、意識が変わっていくんですね。そして、年々、厨房がきれいになっていくんです。きれいにしていたつもりでもこんなところにゴミが溜りやすいんだとか、こういうふうにすればきれいになるんだとか、ここまでやらなきゃいけないんだとか、あとは、ゴキブリって本当にいなくなるんだとか、殺虫剤ってそんなに撒かなくてもいいんだとかね。
僕らは、あなたのお店のパートナーでもあるし、あなたのお店に食べに行くお客さんでもある。だから対峙するんじゃなくて同じ向こうを向いて一緒に頑張りましょうって。向こうには食事を楽しみに来られるお客様がいるんです。その人達のために、食事を提供する側はここで作った料理なら大丈夫って思える厨房にしなきゃいけないと思うんですよね。
なるほど。
大久保:だから食べに来てくれるお客様のために、あるべき姿の厨房を一緒に作りましょうっていうことです。「良樹細根」という言葉があるんですけど、これは、枝ぶりの良い立派な樹は、地中深くまで細かい根っこを張り巡らせて大地をしっかりとつかまえて安定しているってことを表した言葉なんですけど、つまりは、目に見えないところの根っこをしっかりと育てなければ良い樹が育たないようにね、会社とか人も人目に触れるところばかりをいじって取り繕っても、そこから信用は生まれないよっていう意味で、人目に触れないところこそが大事なんだっていうことなんですね。
飲食店に例えれば、客席とか看板とかチラシとかスタッフの対応とか見えるところは凄く気になるじゃないですか、でも、どんな食材を使っているのか、ちゃんと衛生管理しているのか、厨房がきれいかなんてお客様にはわかりにくいでしょ。もちろん雰囲気作りとか料理の味は大事ですけど、それと同じくらい衛生管理も大事だと思うんですよ。全部ひっくるめて「おもてなし」だと思うんですよね。
こうやってお話をじっくり聞くと心に響きますね。
大久保:でも難しいですよ、なかなかお伝えするのは。でもそういうことなんです。言いたいことは。

地球環境につながる、人のお役に立つ仕事をしようと

今後の展開としては?
大久保:創業当時に掲げた目標は、自分たちが思い描く厨房のあるべき姿を世界中に広げること。アースウェルスタイルを仕上げて、厨房の衛生管理はこうあるべきだっていうスタンダードを世界中に広めたいんです。
なるほど。素晴らしいですね
大久保:それが、当初からの目標ですね。ここなら安心して食べられる、と思ってもらえる厨房を1か所でも多く増やしたいんですよね。
安心して食べられる、そういうことですよね。
大久保:今は、食の安全が社会問題になる時代ですよね。でもそこに厨房の衛生管理が抜けているんです。無農薬野菜、有機野菜を使っているので安全だとPRしていても、そこの厨房が汚くて、ねずみやゴキブリいっぱいで、殺虫剤をしょっちゅう撒いていたら、本当にそれって無農薬野菜?って言える(笑)、本当に安全って言える?
確かに(笑)
大久保:無農薬野菜はね、農薬とか化学肥料を一切使わないで育った野菜でしょ、有機野菜は2年か3年、農薬なんかを使わないで堆肥で育った野菜だっていう基準があるでしょう。それを、昨日も殺虫剤を撒いたよっていうようなところに持って行ったら、そこでもう台無しじゃないかって思うんですよ。無農薬という発想の中にそこが抜けているんですよ。だから、作物を作るところまでじゃなくて、調理して口に入るところまで無農薬なら無農薬を徹底する、それが最終地点だと思うんですよね。
そういう考えを持っていらっしゃる業者さんってなかなかいないですよね。
大久保:地球環境につながる世の中の役に立つ仕事をしようと、そういう思いで会社名は大きく【アースウェル】という名前にしたんです。でもやっていることはローカルな仕事なんですけどね。自分たちの信条に、【照千一隅】って言葉があるんですけど、これは一隅を照らすことで、全体が照らされるって意味なんですよ。自分たちがどれだけ頑張っても世界中をどうにかするってことは簡単にはできないじゃないですか。
だから先ずは、自分の与えられた役目を一生懸命に果たして自分の身近な周りを明るく照らすこと、そうすればそれが波紋のように広がって、結果的に世界中が照らされることになるということですね。こういう気持ちを大事にしている。だから自分たちのローカルなところで、先ずはしっかりと人のお役に立つ仕事をしようと。それが、ひいては地球全体にいい影響を及ぼすんだと、そう信じて頑張っているんです。
大きな視点で考えてお仕事をされているのですね。本日はインタビューありがとうございました。
終わりに
殺虫剤を撒くことに疑問を抱き、駆除をし終えたところがゴールではなく、スタートであるという言葉が強く響きました。また、食の安全・安心、環境保護を第一に考えているという熱い思いが伝わりました。

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